石川県金沢市@盛永有登税理士事務所の市民農園日記




 ある日の会話集
 
  
 目 次 

 ○商品代金の前受け販売(予約販売

 ○住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)からの住宅請負代金の代理受領


 
 
 題  名 : 予約販売   区  分 : 収益 
 ある日のお話 : 商品代金の前受販売(予約販売)

◆ある日の会話〔決算対策編・商品販売業・予約販売〕

 
N社長 「先生どうも。このまえ先生に言われたとおりに決算対策してんけどもう少しなんとか

      ならんけ〜。」


 わたし 「えっ、もう少しですか。この前結構がんばって対策考えていろいろ提案したじゃない

      ですか。」

 
N社長 「そうねんけどぃや。もう少し、もう少しなんとかならんけ〜。」

 わたし 「ん〜。じゃあもう一回考えてみますんで少し時間ください。」と、一旦電話を切ったも

     ののどうしたものか。じつはN社長とはつい最近決算対策会を行ったばかり。かなり

     苦労していくつか案を出したのですが……。いろいろ考えてはみたものの名案浮か

     ばず時間が経過。

     で、そうこうしているうちに肝心なことに気づきました。N社長の会社の商品の販売形態

     は先に商品代金を受け取ってからその後10日以内に商品を発送するというやり方です。

     いままで、商品代金入金時に売上を計上していたのですが本来は商品を発送したとき

     に売上を計上する
というのが正しい会計処理方法です。つまり決算日に近い時期の商品

     代金入金額のうちまだ商品を発送していない分については当期の売上に計上しなくて

     もいいのです。

     このことを社長に伝えると、

 
N社長 「なんや、そうなんけ。今まで入金あつた時に売上計上しとってんけどお金もらっても

      まだ商品発送してない分は売上あげんでいいげんね。ならもう○○万円分くらい当期

      の売上減らせるわ。先生、それでいこう。」


 これで決算対策は丸く収まりました。結局肝心なことを忘れていたわたしが悪いのですが最後

 に気づいてほっとしました。あと、N社長の会社は当期が設立一期目でしたので何の問題もなく

 この会計処理を行うことが出来ました。


 
◆解  説〔売上収益の計上基準について〕

 原則…実現主義

 
売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに

 限る。

 ◎ここに言う実現とは、@企業外部の第三者に対して、財貨(商品・製品など)又は用役(サー

  ビス)を提供し、Aその対価として現金または現金等価物(受取手形・売掛金など)を取得した

  ことによって、B取引が完結した時点をいい、通常販売の時点をいう。

 N社長の場合には、先にお金をもらっているので上記の考え方とちょっと違ってきます。

 例外…予約販売

 
予約販売については、予約金受取額のうち、決算日までに商品の引渡し又は役務の給付

 が完了した分だけを当期の売上高に計上
し、残額は貸借対照表の負債の部に計上して…。

 ◎ここに言う予約販売とは、得意先から前もって予約金を受け取り、後日商品などを引き渡すと

 いう販売形態のことです。

 N社長の場合は完全にこちらに該当しますので、予約金受取額のうち、決算日までに商品の

 引渡しが完了していない分は当期の売上高に計上しない
ことになります。






 題  名 : 資金回収    区分 : 資産
  ある日のお話 : 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)からの住宅請負代金の代理受領

◆ある日の会話〔資金回収編・住宅工務店・代理受領〕

 わたし 「いつもお世話になってます。ところで社長。調子はどうですか。」

 
A社長 「ええ、おかげさまで。新しく住宅1件受注も取れたからね。

 わたし 「そうなんですか。よかったですね。」

 
A社長 「ただ、今取り掛かっている現場の方でチョットあってね。」

 わたし 「はい?」

 
A社長 「請負代金の入金が予定よりも少し遅れているんだよ。今月は仕入先に頼んで支払

      少し待ってもらわないといけなくなっちゃったよ。」


 わたし 「それはまずいですね。お金は確実に入ってくるんですか。」

 
A社長 「それは大丈夫なんだけど。こんなことなら最初からお客さんに頼んで請負代金の

      受取方法を住宅金融支援機構から直接ウチの会社にはいってくる代理受領にして

      もらえばよかった。」


 わたし 「代理受領?」

 
A社長 「ああ、そういう制度があるんだ。家を建てるときは住宅金融支援機構で資金融資を

      受けるのが一般的なんだけど、最初に手続きすれば住宅金融支援機構から直接ウチ

      の会社にお金が入ってくるんだ。そうしとけば安全でしょ。」


 わたし 「そんな制度があったんですか。知らなかったですよ。(勉強不足)」


    というわけで、今回はその後きちんと入金があったので何の問題も発生しませんでしたが

    お金は会社の命綱ですので今後も要注意です。

    最初にお客様にチキンと説明して請負代金の受取りはこの代理受領の方法にしてもらえ

    れば確かに安全ですね。

    住宅1件の請負金額ともなると当然2千万・3千万などと巨額になるのですが、工事は着工

    したわお金は入ってこないわでは大変なことになります。

    より安全に、より安全にですね。ちなみに、わたしももっと勉強です。


 
 以下は、旧住宅金融公庫さんのホームページからの引用になります。

 
質問(57)資金受領は、代理人でも認められますか。

 回 答

 資金は、原則として、公庫業務取扱店に開設された本人名義の預金口座に振り込む方法に

 よりお渡しします。ただし、公庫業務取扱店で支障がないと認めるときは申込本人の家族、

 
請負業者またはつなぎ融資を行った公庫の受託金融機関に限りお渡しすることができます。

 この場合、「資金の代理受領に関する委任状」(委任状に使用する印鑑は、融資予約者が印鑑

 登録している実印に限ります。)が必要です。






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